墓じまいと永代供養の違いが分からない。費用はどのくらいするのかな。
墓じまいと永代供養は、どちらも先祖供養に関する大切な手続きですが、具体的な内容や費用、メリットは異なります。
墓じまいはお墓を撤去して更地に戻す作業であり、永代供養はお寺や霊園に供養を託すことです。
この2つの手続きを組み合わせることで、管理負担が軽減され、継承者がいない場合でも安心して供養を続けられるのが大きなメリットです。
本記事では、墓じまいと永代供養の基本的な違いや費用、さらにその後の流れを詳しく解説します。
- 墓じまいと永代供養の違い
- 墓じまいしたあとに永代供養をする3つのメリット
- 墓じまいをして永代供養にする流れ
適切な供養方法がわかりますので、家族・親族との話し合いもスムーズに進められるでしょう。
墓じまいと永代供養の違い
墓じまいと永代供養、永代管理の違いが、よくわからないと感じる方も多いかもしれません。
どちらも「今あるお墓を使わなくする」という点が似ているため、混同されがちです。
しかし、墓じまいと永代供養、永代管理は、目的や役割が全く異なります。
ただし、この2つは密接に関連している場合もあるため、それぞれの基本をしっかり理解しておくことが大切です。
「墓じまい」はお墓を更地にして管理者に戻すこと
「墓じまい」とは、現在のお墓を片付け、墓地を更地に戻して管理者に返還する手続きのことです。
まず、墓じまいの重要な手続きとして行うのが閉眼供養です。
これは、墓石に宿っている故人の魂を抜き、新しい供養先に移すための儀式であり、魂抜きとも呼ばれます。
この儀式を行うことで、感謝の気持ちを込めながら故人を送り出す準備が整うのです。
その後、埋葬されている遺骨を取り出し、墓石を解体・撤去して土地を元の状態に戻します。
さらに、墓地の管理者に返還手続きを行い、契約が終了となります。
墓じまいをすることで、お墓の維持管理や費用負担から解放されるだけでなく、後継者がいない場合の負担軽減にもつながるでしょう。
なお、お墓じまいだけをすることは、基本的にはできません。
お墓じまいをするときには、ご遺骨の改葬先が決まっていることが前提となりますので注意しましょう。
「永代管理」は遺骨の管理を霊園に任せること
永代管理とは、墓地管理料を一括で前納して、遺骨の管理を霊園に任せる方法です。
主に、地方自治体が運営する公共霊園や民間墓地に多い形態で、合同墓や個別埋葬型のお墓などは永代管理となります。
民間の合同墓や個別埋葬型のお墓、自治体の場合は合同墓となります。
供養を希望する場合は、ご自身でお寺などを手配する必要があります。
「永代供養」はお寺に供養を任せること
「永代供養」とは、お寺に遺骨を安置し、供養を長期的に任せることを指します。
家族や親族が供養を続けられない場合でも、管理者が定期的に供養を行うことで、故人の霊を手厚く弔う供養方法です。
継承者がいない場合や、遠方でお墓参りが難しい場合に選ばれることが多いです。
永代供養では、合同墓や納骨堂、樹木葬などにご遺骨を改葬します。
また、費用負担が一度きりで済む場合が多いため、経済的な負担を軽減できるのも特徴です。
供養をお任せすることで、遺族は精神的な負担からも解放され、安心して故人を見守ることができます。
供養をお任せするといっても、先祖供養に自分たちでは足を運ぶ必要がないというわけではありません。
お墓じまい(改葬)することで、さらにご先祖様が身近な存在となり、ご先祖供養をしやすいカタチになるでしょう。
墓じまいしたあとに永代供養をする3つのメリット
墓じまい後に永代供養を選ぶと、お墓の管理から解放され、継承者を必要とせずに供養を続けられます。
ここでは墓じまい後に永代供養をするメリット、以下の3つを紹介します。
- お墓の管理がなくなる
- 継承者を決める必要がない
- 費用負担が軽くなる
それぞれ、詳しくみていきましょう。
お墓の管理がなくなる
墓じまいをして永代供養に切り替えるメリットの1つは、お墓の管理から解放される点です。
お墓の維持には定期的な掃除や供花の準備などが必要ですが、永代供養では、お寺や霊園が引き継いで行ってくれます。
そのため、忙しい日常の中でお墓の手入れに時間を割く必要がなくなります。
さらに、遠方に住んでいる場合は、お墓参りや管理の負担が大幅に軽減されるでしょう。
霊園やお寺が供養や管理を定期的に行うため、常に整った状態で供養が続けられるのも大きな魅力です。
お墓の管理に対する心配がなくなることで、精神的な負担も減り、安心して供養を任せることができます。
継承者を決める必要がない
墓じまい後に永代供養を選ぶことで、将来のお墓の継承者を決める必要がなくなります。
通常のお墓では、代々の継承者が管理を引き継ぎますが、少子化や家族構成の変化により、お墓を継ぐ人がいないケースも増えています。
永代供養の場合、お寺や霊園が管理や供養を行うため、継承者が不在でも供養が続けられるのが大きなメリットです。
また、親族間で継承に関するトラブルが発生する心配も軽減されます。
特に子どもがいない家庭や、遠方に住む家族が多い場合には、永代供養が最適な選択肢となるでしょう。
安心して供養を任せられることで、家族全体の負担が軽減され、心穏やかに故人を偲ぶことができます。
費用負担が軽くなる
墓じまい後に永代供養を選ぶと、費用負担が大幅に軽減されます。
通常のお墓を維持するには、年間管理費が必要で、加えて墓石の修繕や清掃などの費用もかかります。
一方で、永代供養では管理費が不要な場合が多く、一度の契約で供養や管理を依頼できるため、ランニングコストがかからないのが大きなメリットです。
また、檀家制度のあるお寺では、檀家としての負担や寄付金の義務が伴うこともあります。
墓じまいをして永代供養を選ぶことで、こうした義務からも解放されます。
結果的に、固定費を削減できるため、家計への負担が軽くなるだけでなく、家族の将来的な負担も軽減されるでしょう。
墓じまいをして永代供養にする流れ
墓じまいをして永代供養を行うには、いくつかのステップを順を追って進める必要があります。
墓じまいを進める際は、まず家族や親族と十分に話し合うことが重要です。
お墓は家族の大切な場所であり、墓じまいや永代供養に対して意見が分かれることもあります。
特に親族が複数いる場合、意見の食い違いが後のトラブルにつながることも。
墓じまいの理由や永代供養に移行するメリットを丁寧に説明し、全員が納得できる結論を目指しましょう。
また、遠方に住む親族や継承者候補がいる場合は、事前に確認を取ることも大切です。
次に、ご遺骨を移動させる新しい安置場所を選びます。
選択肢としては、永代供養墓や納骨堂、樹木葬などがあるため、家族や親族の希望や予算に応じて検討しましょう。
また、改葬先によって管理費や供養方法が異なるため、契約内容を十分に確認することが重要です。
特に永代供養墓や納骨堂では、長期的な管理と供養が含まれるため、将来の負担を軽減できます。
ご遺骨の引っ越し先となる改葬先で、永代管理に永代供養も必要かどうかを検討します。
永代管理は、改葬先の管理者にお墓の維持管理をお任せする仕組みで、永代供養は、永代管理に故人への供養が含まれる仕組みのことです。
費用や供養の方法は施設ごとに異なるため、家族の希望や価値観に合ったサービスを選びましょう。
墓じまいを進めるには、行政からの許可を得ることが不可欠です。
具体的には、改葬許可申請書を墓地の所在地の市区町村に提出します。
改葬許可申請書を提出するときには、現在のお墓の管理者から発行される埋葬証明書や、改葬先の受け入れ証明書も提出しなければなりません。
許可が下りたあとに、法的にお墓の撤去やご遺骨を移動できるようになります。
手続きには時間がかかる場合があるため、余裕を持って準備を進めましょう。
お墓を撤去する前には、閉眼供養(へいがんくよう)を行います。
これは「魂抜き」とも呼ばれる儀式で、墓石に宿っている故人の魂を解放し、感謝の気持ちを込めて見送る大切な儀式です。
閉眼供養をすることで、故人が次の供養先でも安らかに祀る環境が整えられます。
住職や霊園管理者に依頼して行うのが一般的で、家族・親族と話し合い、供養方法や日程を調整しておくとトラブルが避けられるでしょう。
閉眼供養や抜魂法要が完了したら、遺骨をお墓から取り出します。
この作業は、墓石の解体を担当する石材店に依頼することが一般的です。
寺院墓地では指定された石材店に依頼する必要がある場合もあるため、墓地管理者との事前確認を忘れずに行いましょう。
取り出した遺骨を新しい納骨先に収める際には、骨壺が汚れている場合などに洗骨が必要になることもあります。
納骨を行う日には、法要や作業の準備が必要になることがあるため、寺院や墓苑と日程を調整し、スムーズに進められるよう手配しましょう。
ご遺骨の改装が終わったあとには、撤去工事をしたのち、墓地の使用権を管理者に返還します。
使用権を正式に返還することで、新たな供養先への移行がスムーズになります。
トラブルを避けるため、事前に必要な手続きや費用について管理者や業者に確認しておくと安心です。
墓じまいを行った後、取り出した遺骨は新たな納骨先に移し永代供養を行います。
その際、墓地管理者に「改葬許可証」を提出する必要があります。
また、供養方法や永代供養墓の形態は施設ごとに異なるため、事前に確認することが大切です。
家族・親族と十分に話し合い、自分たちの希望に合ったものを選びましょう。
墓じまいにかかる費用
墓じまいを進める際には、さまざまな費用がかかります。
墓じまい | 費用 |
---|---|
墓石撤去・解体費用 | 15万円〜 |
お布施などのお礼 | 2〜5万円 |
離檀料(※) | 10〜15万円 |
スムーズに準備するためにも、詳しくみていきましょう。
墓石撤去・解体費用(15万円〜)
墓石の撤去・解体費用は、お墓を取り壊して墓石を搬出する際に発生する費用です。
一般的な相場は15万円程度からですが、お墓の形状が特殊な場合や、重機が使えず手作業が多くなる場合には、追加費用が発生することがあります。
また、墓域の広さや墓石の劣化具合によっても費用が変動するため、事前に見積もりを確認することが重要です。
極端に安価な費用を提示する業者には注意が必要で、不法投棄などのトラブルを避けるためにも、信頼できる石材店を選びましょう。
お布施などのお礼(2〜5万円)
墓じまいを行う際には、閉眼供養や法要の際に住職にお布施を渡す必要があります。
お布施の相場は、一般的に2万~5万円程度です。
ただし、金額は地域や宗派によって異なる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。
また、経験者や関係者に相談することで、適切な金額や準備についてのアドバイスを得られるでしょう。
離檀料(10〜15万円)
離檀料とは、お寺を離れる際にこれまでの供養や管理に対する感謝の気持ちとして支払う費用です。
なお、墓じまいをしても寺院とのつながりを持つ方は、離断しないため必要ありません。
離檀料の相場は一般的に10万~15万円程度で、過去に渡したお布施の約3回分が基準とされています。
ただし、具体的な金額は寺院ごとの方針や檀家としての関係性、年数によって異なる場合があるため、事前に確認することが大切です。
基本的に、離檀料の支払いには法的義務はありません。
万が一相場を大幅に超える金額を請求される場合は、弁護士や自治体の相談窓口に問い合わせて、適切な対応を検討しましょう。
墓じまいについてさらに知りたい方は、以下の記事をぜひ参考にしてみてください。
永代供養にかかる費用
永代供養 | 費用 |
---|---|
合同墓のみの場合 | 10~50万円程度 |
墓石購入を伴うセットプラン | 30~200万円程度 |
永代供養の費用相場は、合同墓のみの場合は10万円から50万円、墓石購入を伴うセットプランでは30万から200万円です。
合同墓は霊園や寺院が供養を行い、維持費が不要なケースが多い一方、セットプランは墓石を建てて個別供養を希望する方に向いています。
費用は霊園の立地やお墓の構造によって変動するため、契約前に詳細を確認することが大切です。
後継ぎ不在や親族の負担軽減を理由に、選ばれるケースが増えています。
墓じまいと永代供養に関してよくある質問
墓じまいや永代供養については、多くの方が不安や疑問を抱えるものです。
以下、よくある質問を解説していきます。
- 墓じまいをしないとどうなりますか?
- 遺骨をあとから取り出すことはできますか?
- 永代供養は罰当たりですか?
詳しくみていきましょう。
墓じまいをしないとどうなりますか?
墓じまいをしないままお墓を放置すると、継承者がいない場合、無縁仏として扱われる可能性があります。
無縁仏とは、供養を行う親族や縁者がいない故人やそのお墓を指し、霊園や墓地の管理者の判断でお墓が撤去されることがあります。
また、無縁仏は霊園が管理費用を負担するため、十分な供養が行われる保証はありません。
こうした状況を避けるためにも、墓じまいを検討し、先祖供養を適切に行うことが大切です。
ただし、本家でお墓を継承することが困難な場合、分家継承者を打診するのも方法の1つです。
お墓じまいという物理的な処分も大切ですが、先祖供養のカタチを改めることも検討しましょう。
違ったカタチでの先祖供養も検討してみてください。
遺骨をあとから取り出すことはできますか?
永代供養のお墓に納めた遺骨を、あとから取り出すことは基本的にできません。
一定期間が過ぎると他の方の遺骨と一緒に合祀される場合がほとんどです。
初めから合祀されるケースもあります。
一度合祀されると遺骨を取り出すことはできなくなるため、事前に家族・親族と十分な話し合いを行わないと、後々トラブルに発展する可能性があります。
永代供養は罰当たりですか?
永代供養は、仏教の教えにおいて罰当たりではありません。
お墓を所有している方が永代供養を選ぶ場合、お墓を撤去して更地に戻す「墓じまい」を行う必要があります。
「墓じまいは罰当たりだ」と耳にすることもありますが、仏教の教えでは、故人は亡くなると仏様になり、現世に戻って人を祟ることはないとされています。
また、永代供養では遺骨を霊園や寺院に託し、継続的に供養を行うため、無縁仏になる心配はありません。
家族・親族の負担を減らすとともに、安心して供養を続けられる選択肢です。
まとめ
「墓じまい」はお墓を更地にして管理者に戻すことで、「永代供養」はお寺や霊園に供養をせることです。
墓じまいしたあとに永代供養をすると、以下3つのメリットがあります。
- お墓の管理がなくなる
- 継承者を決める必要がない
- 費用負担が軽くなる
以下、墓じまいをして永代供養にする流れです。
- 家族・親族と話し合う
- 改装先を決める
- 永代管理に永代供養も必要かどうかを検討する
- 行政に墓じまいの許可を得る
- 閉眼供養をする
- お墓の撤去・収骨→改葬(ご遺骨を引っ越し先へ改葬)
- 墓所使用権の返還
- 改葬先で永代管理・供養を行う
墓じまいにかかる費用はさまざまあります。
- 墓石撤去・解体費用(15万円〜)
- お布施などのお礼(2〜5万円)
- 離檀料(10〜15万円)
永代供養にかかる費用は、集合墓のみの場合は10万円から50万円、墓石購入を伴うセットプランでは30万円から200万円です。
また、墓じまいをしないことで無縁仏になる可能性があり、永代供養後に遺骨の取り出しはできません。
さらに、永代供養は仏教の教えにおいて罰当たりではなく、安心して供養を続けられる選択肢です。
本記事を参考に、家族・親族と話し合い、故人を思いながら最適な供養方法を選びましょう。
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墓じまいと永代供養について不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。