お墓には、どんな種類があるの?
費用はどれくらいかかるの?
お墓は、供養の形やデザイン、建てる場所などによってさまざまな種類があるため、親や自分の終活を見据えて、事前にお墓について知っておくことは大切です。
現代では、一般的なお墓だけでなく、樹木葬や納骨堂など多様な選択肢があり、供養の仕方によって費用も変わります。
お墓の種類別の特徴を知らないと、いざ建てるとなったときに迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで本記事では、最新のお墓の種類や費用相場を、わかりやすく解説していきます。
- 最新のお墓の形態と特徴
- 墓地や霊園の種類
- お墓のデザイン5種類
この記事を読むと、どのような供養の方法で墓石のデザインはどうするか、具体的なイメージがつくようになりますよ。
埋葬される人別のお墓の5つの種類
お墓の種類は、埋葬される人によって呼び方が変わります。ここでは、埋葬される人別のお墓の種類、以下の5つを紹介します。
- 伝統的なスタイル「家墓」「累代墓」
- 両家の墓「両家墓」
- 一人だけが埋葬される「個人墓」
- 一族とは別に夫婦だけが埋葬される「夫婦墓」
- 同じ信仰や趣味を持つ人たちが一緒に埋葬される「共同墓」
1つずつ、詳しく見ていきましょう。
1.伝統的なスタイル「家墓」「累代墓」
家墓(いえはか)または累代墓(るいだいぼ)は、一族で所有する伝統的なスタイルのお墓です。
「◯◯家の墓」などの家名が刻まれており、墓石の裏側や側面、または墓誌板に、納骨されている故人の名前や没年月日が刻まれます。
親から子、子から孫へと代々受け継がれ、本家と直系の一族の遺骨が納骨されていくのが一般的です。
2.両家の墓「両家墓」
両家墓は、両家の家のお墓を1つにまとめたお墓です。
1つの区画に両家の墓を一緒に建てたり、両家の遺骨を1つの墓石で供養したりする形式です。
近年、一人っ子同士の結婚や、お墓の継承者がいないなどの家族構成の変化から、両家墓を選択する家庭も増えています。
両家墓は、引き継いだお墓が1箇所になることで管理がしやすくなる一方で、両家の意向を尊重する必要もあります。
両家墓にする場合は、事前に親族に了承を得る必要があるでしょう。
3.一人だけが埋葬される「個人墓」
個人墓は、故人の1人のみが埋葬されるお墓です。
民間霊園や寺院墓所などでは、永代供養がセットになっているケースが多く、後継者を必要としないため、親族に負担をかけたくないと考える方々に選ばれています。
また、個人専用のお墓であるため、デザインや刻む文字を自由に選べ、自分らしさを表現できることも特徴です。
4.一族とは別に夫婦だけが埋葬される「夫婦墓」
夫婦墓は、夫と妻の二人のみが入るお墓で、「めおとばか」や「ふうふばか」とも呼ばれます。
生前に建墓し、子どもがいない夫婦や、一族の墓とは別のお墓にしたいと考える夫婦、お墓の継承を望まない夫婦が選ぶことが多い形式です。
一般的な家墓では「◯◯家の墓」と家名が刻まれますが、夫婦墓では夫婦それぞれの戒名や俗名を並べて刻むこともあります。
二人の名前が並び、独立した墓石として夫婦だけの絆を表現できるのも特徴です。
5.同じ信仰や趣味を持つ人たちが一緒に埋葬される「共同墓」
共同墓は、血縁に関係なく、同じ信仰や趣味などを持つ方々が一緒に埋葬されるお墓です。
大きな供養塔が設けられ、その中に複数の遺骨が納められます。
墓石を建てる必要もなく、維持管理をする必要がないため、通常のお墓に比べて費用を抑えることができます。
管理をする家族や親族がいない方や、お墓の費用を抑えたい方に選ばれることが多い形式です。
しかし、他の遺骨と共に納められるため、後から個別の遺骨を取り出して移動させることはできません。
お墓の最新の形態5種類と費用相場
お墓の種類は、供養の形によっても異なります。また、それぞれのお墓にかかる費用にも違いがあるため、事前に知っておくことが大切です。
ここでは、供養の形ごとの以下の5つのお墓の種類と、費用相場を解説します。
- 永代供養
- 納骨堂
- 散骨
- 樹木葬
- ネット墓
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
1.永代供養
永代供養墓とは、霊園や寺院が永続的に遺骨を管理・供養してくれるお墓です。
承継者がいらないため、独身の方や親族がいない方にとって安心して眠れる選択肢として選ばれています。
近年では、子や孫にお墓の管理負担をかけたくないと考える人や、お墓にかける費用を抑えたい人にも選ばれています。
永代供養墓は「合祀型」「集合型」「個別型」の3つのタイプに分けることができ、それぞれの費用相場と特徴は下表の通りです。
形式 | 費用相場 | 特徴 |
---|---|---|
合祀型 | 5〜30万円 | 遺骨を他の人と一緒に合同で安置する |
集合型 | 20〜60万円 | 複数の遺骨を一箇所にまとめて安置する |
個別型 | 50〜120万円 | 一人または家族単位で遺骨を個別に安置する |
合祀型は、他の人の遺骨と一緒に納骨されるため、あとから遺骨を取り出すことはできません。
霊廟と呼ばれる墓所に、希望者を埋葬する形式で、お墓を建てないため、費用が抑えられるのがポイントです。
個別型は、個人墓などと同様に墓石を建てて供養する方法です。
遺骨はお墓の中にそのまま安置されますが、17回忌、33回忌など一定の期間が過ぎると合祀されるケースもあります。
永代供養についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
2.納骨堂
納骨堂とは、骨壷に入れた遺骨を保管しておくための施設です。
屋内に設置されることが多く、一つの建物に多くの遺骨を安置できるため、天候に左右されずにお参りがしやすいという特徴があります。
都心に位置する施設も多いことから、納骨堂の多くはアクセスが良い場所にあります。
また、墓地や墓石が必要なく、費用が比較的安価であることから、近年、注目を集めている形式です。
納骨堂にかかる費用は、地域や施設によっても大きく異なりますが、費用相場は70万円前後です。
納骨堂については、以下の記事でも詳しく解説しています。
3.散骨
散骨とは、お骨をお墓に納骨する代わりに、海や山に撒いて自然に還す供養方法です。
自分の好きな場所で眠れることや、お墓の費用や維持費がかからないため、散骨を選ぶ人も増えています。
また、子や孫にお墓の管理負担をかけずに済む点も人気の理由です。
ただし、お墓の形が残らないため、残された人が献花や墓参りを行う場所がなくなることは理解しておく必要があります。
そのため、散骨を希望する際は、生前に家族としっかり話し合っておくことが大切です。
散骨には主に、山岳散骨、海洋散骨、宇宙散骨の3種類があり、費用相場は2万円〜50万円です。
散骨についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
4.樹木葬
樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花をシンボルとする供養方法です。
永代供養が一般的で宗旨・宗派に関係なく利用でき、自然の中で安らかに眠れることから、近年注目を集めています。
また、樹木葬は、墓石を建てることがないため、継承者がいらないというのもポイントです。
樹木葬には、庭園型、里山型、公園型、里山型の3種類があり、費用相場は10万~80万円程度です。
散骨や樹木葬には、デジタル墓の併用をお勧めします。
デジタル墓は、故人の思い出や家族の絆を未来に残せるだけでなく、供養の場所や散骨地、樹木葬の位置情報を記録することも可能です。
自然に還る供養と記録を両立し、大切な思い出をいつでも振り返ることができます。
樹木葬については、こちらの記事でも詳しく説明しています。
5.ネット墓
ネット墓とは、インターネット上に設けられた仮想的なお墓で、特定のWebサイトやアプリ内で故人を偲ぶための追悼サービスです。
ネット墓のページには、故人の写真や名前、生涯のエピソード、メッセージが掲載されており、訪問者はオンライン上で祈りを捧げ、故人を追悼することができます。
遠方に住む家族や友人も時間や場所に制約されずに故人を偲ぶことができるため、現代の生活スタイルに合った新しい供養方法として注目されています。
また、先祖の写真アルバムや家系図、先人の業績などもネット墓に保存することで、後世に伝えやすくなっています。
費用相場は3万~20万円程度と比較的低く、アクセスの容易さと保存性から、多くの人に選ばれるデジタル供養の形態の1つです。
古いアルバム写真のデジタル化の枚数によっても、金額が変わります。
また、山崎石材工業株式会社では、アルバムのデジタル化+お焚き上げサービスもやっています。
ネット墓のメリットや注意点については、以下の記事をご覧ください。
墓地や霊園の種類3つ
墓石を建てる場合は、墓地や霊園の種類を知っておくことが大切です。墓地や霊園の種類には、以下3つの種類があります。
- 各宗派の寺院が管理する「寺院墓地」
- 自治体が管理する「公営墓地」
- 民間企業が管理する「民間霊園」
それぞれ、詳しく解説します。
1.各宗派の寺院が管理する「寺院墓地」
寺院墓地は、寺院が管理・運営するお墓で、寺院内に墓地が設けられているのが一般的です。
僧侶が常駐しているため、忙しかったり遠方でお参りが難しい場合でも、故人の供養を手厚く行ってもらえるという特徴があります。
また、法事の際に寺院の施設を利用できることも魅力です。
一方で、寺院墓地を利用するためには檀家になる必要があり、お布施や寄付といった経済的負担が増えることも少なくありません。
また、墓石を建立する際には、寺院が指定する石材店を利用しなければならないことが多く、自由に石材店を選べないこともあります。
寺院墓地は伝統的で手厚い供養を希望する人々に向いていますが、利用条件を事前に確認しておく必要があるでしょう。
2.自治体が管理する「公営墓地」
公営墓地は、都道府県や市町村が運営・管理する公共の墓地です。霊園という名前がついていることもあります。
寺院墓地や民間墓地よりも、費用が比較的安価で、自治体が運営しているため、民間企業のように経営が不安定になる心配はほとんどありません。
安定した管理が期待できるのも魅力です。しかし、利用するときには「その自治体に居住している」「遺骨がある」といった条件が設けられていることもあります。
条件を満たした上で応募し、応募者が多い場合には抽選になることには、注意が必要です。
お墓の管理にかかる費用を抑えたい方や、信頼性のある供養先を求める方に適した選択肢です。
また、自治体が管理する墓地の多くは、承継者がいることを前提として運営されています。
そのため、永代管理の仕組みが整備されている自治体は少なく、多くの場合、お墓の所有者が管理や承継の義務を負う仕組みとなっています。
自治体が提供する墓地では、基本的に個々のお墓の維持・管理は所有者側の責任として扱われる点に留意が必要です。
3.民間企業が管理する「民間霊園」
民間霊園は、宗教法人や民間企業が管理・運営する墓地で、寺院墓地とは異なり宗旨・宗派を問われることはありません。
昨今の民間霊園では、お墓利用者に代わって霊園が管理を担うサービスが主流となりつつあり、承継者がいなくても安心して利用できる仕組みが整えられています。
これにより、利用者はお墓の管理や継承に関する負担から解放され、故人を偲ぶ時間に専念できるようになっています。
また、手入れの行き届いた美しい景観も魅力で、ゆったりとした環境の中で故人を偲ぶことができます。
ただし、墓地の環境整備に費用がかかっているため、利用料金や維持管理費が高くなる傾向にあるため、民営墓地を選ぶ際は予算も含めて検討することが大切です。
宗教に関係なく自由度の高い供養を希望する人々に適していますが、費用が割高になることは理解しておきましょう。
お墓のデザインの5つの種類
墓石にはどのようなデザインがあるのか事前に知っておくと、満足のいくお墓が建てられます。
お墓のデザインの種類には、以下の5つがあります。
- 昔ながらの「和墓」
- シンプルな「洋墓」
- 仏教の教理に基づいた「五輪塔」
- 自由に選ぶ「デザイン墓石」
- 樹木葬とセットの「ワンプレート型」
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
1.昔ながらの「和墓」
和墓は、長方形のデザインの、日本では伝統的に親しまれているお墓です。
「〇〇家之墓」や「先祖代々之墓」といった文字が刻まれる竿石を中心に、最上部から上台・中台・芝台と四段で構成されています。
また、仏教のお題目が彫られることもあります。
棹石の先端が四角錐のように尖っているものは、神道のお墓である場合が多いです。
和墓には、花立て、水鉢、香立て、卒塔婆立てなどが備えられ、先祖代々のお墓には墓誌が併設されることもあります。
「和風墓」や「和型墓」とも呼ばれ、石材や彫刻が複雑になるほど費用がかかる傾向にあります。
格式と伝統を重んじる方に人気があり、安心感を与えるデザインと言えるでしょう。
2.シンプルな「洋墓」
洋墓は、欧米風のスタイリッシュなデザインが特徴の現代的なお墓です。
横長でシンプルな形状が多く、「オルガン型」とも呼ばれることがあります。
明るく開放的な印象を与え、宗教に縛られない無宗教のスタイルを好む家庭に選ばれる傾向にあります。
最近では「一期一会」など、故人や遺族の好みの言葉を刻む例が増え、個性を表現できる点も人気の理由です。
また、洋墓は狭いスペースでも設置できるため、都市部の墓地にも適しています。
現代のニーズに合ったお墓の形態として注目されています。
3.仏教の教理に基づいた「五輪塔」
五輪塔は、和墓の一つで、仏教の五大元素「空・風・火・水・土」を象徴する5つのパーツから構成されている伝統的な石塔です。
この五代要素は五大と呼ばれ、死者を成仏させ、極楽浄土に導くとされるため、深い信仰を持つ方々に選ばれる傾向があります。
また、無宗教が増える現代においても、仏教的な意味を大切にする人々に支持され、墓地内で和墓の隣に五輪塔を建てる例も見られます。
4.自由に選ぶ「デザイン墓石」
デザイン墓は、形状や刻印、墓石の素材などを自由にアレンジして、唯一無二のお墓を作るオーダーメイドのスタイルです。
従来の形式にとらわれず、個性を表現しながら故人の人生や趣味を反映したデザインにすることができます。
設計にはCADなどの3Dソフトが用いられ、立体的なイメージを確認しながら打ち合わせを進めることが可能です。
アートガラスを用いたデザインや、自然の石を活かした形など、ユニークな形状も選ばれていますが、形が複雑になるほどコストも高くなる傾向があります。
デザイン墓は終活の一環として生前に建てる寿陵墓としても人気があり、故人の個性や生き方を尊重する選択肢として注目されています。
5.樹木葬とセットの「ワンプレート型」
ワンプレート型は、コストを抑えたシンプルな墓石スタイルで、近年、公園型墓地や樹木葬の一部として選ばれることが増えています。
一般的に墓石は平らなプレート型で、デザインは霊園の仕様に沿いつつも、戒名や名前に加え、自由な言葉や花などのイラストを刻むことが可能です。
多くの場合、永代供養が前提で、5年、10年、50年など一定期間は個別に供養され、期間終了後に更新手続きを行わない場合は合祀墓へと移されます。
プレート墓は、シンプルで維持費も抑えられることから、経済的負担を軽減しながら個性を表現できる現代的なお墓のスタイルです。
まとめ
お墓の種類は、埋葬される人ごとに以下の5つの種類があります。
- 伝統的なスタイル「家墓」「累代墓」
- 両家の墓「両家墓」
- 一人だけが埋葬される「個人墓」
- 一族とは別に夫婦だけが埋葬される「夫婦墓」
- 同じ信仰や趣味を持つ人たちが一緒に埋葬される「共同墓」
また、供養の形によって以下の5つに分けることができます。
- 永代供養
- 納骨堂
- 散骨
- 樹木葬
- ネット墓
墓地や霊園の種類には、以下の3つがあります。
- 各宗派の寺院が管理する「寺院墓地」
- 自治体が管理する「公営墓地」
- 民間企業が管理する「民間墓地」
お墓のデザインを選ぶときには、以下の5つの中から検討してみてください。
- 昔ながらの「和墓」
- シンプルな「洋墓」
- 仏教の教理に基づいた「五輪塔」
- 自由に選ぶ「デザイン墓石」
- 樹木葬とセットの「ワンプレート型」
それぞれに特徴やメリットがあり、費用にも違いがあるため、自分や家族に合った形態を見極めることが大切です。
本記事を参考に、供養方法や費用相場を把握し、将来に備えたお墓選びを進めてみてはいかがでしょうか。