樹木葬って聞いたことあるけど、実際はどんなものなんだろう?
樹木葬は、自然と一体感を感じたい人にとってもっとも適したお墓の種類です。通常の墓石よりも安価で、承継者も要らないことから近年、人気を集めています。
しかし、樹木葬といってもさまざまな特徴や種類があるのはご存知でしょうか。
そこで本記事では樹木葬の特徴、メリットやデメリットについてわかりやすく解説をしていきます。
- 樹木葬の特徴と種類
- 樹木葬のメリット・デメリット
- 樹木葬を行う際の3つのポイント
この記事を一読いただければ、樹木葬のことは概ね理解できるようになります。
これからお墓の準備が必要な方、樹木葬について知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
石一筋135年の石材店が次世代に思いを継ぐ墓づくりを提案
創業135年(2023年現在)、北海道を代表する石材店として滝川市で歴史を刻み「お墓は人生の物語」をテーマに墓石デザインプロデューサーとして、大切な人の想いを未来の家族に届けるお墓づくりを目指します。
樹木葬とは自然との一体感を大切にしたお墓
樹木葬とは、自然との一体感を大切にした新しいお墓のスタイルで近年、人気を集めています。実は、樹木葬は北欧では1世紀以上前からスタートしておりお墓のスタンダードでもあるのです。
お墓のサイズも従来の墓石より小さめとなっています。供養方法は、遺骨を埋葬する際に樹木やお花と一緒に埋葬するタイプが主流です。
樹木葬の特徴として、里山再生型の本格的な樹木葬が一般的にイメージされ、岩手県一の関の知勝院が日本では先駆者として存在。しかし、実際のところ石材ユニット部品を使用することで、作業がシンプルになり、造成費用も削減できます。
結果として、比較的リーズナブルな価格から提供される樹花の中にある小さなお墓というスタイルが多く見受けられます。
また、自然への回帰を願う人々にとっても、心に響くお墓の選択肢として注目を集めているのです。
ドイツでは、1990年代から、森林の保全のために樹木葬とコラボしてドイツのお墓の10~15%のシェアを取っています。
スウェーデンの森の墓地は世界自然遺産として素晴らしいコンセプトを持ち、樹木葬の始まりのような墓地で100年以上前から存在しているんですよ。
樹木葬の3つの種類
樹木葬は、大きく分けて3つの種類に分類されます。
- 庭園型
- 里山型
- 公園型
順番に解説をしていきます。
庭園型
庭園型は、決まった場所にシンボルツリーや花木を植えるスタイルの樹木葬です。
都市の霊園や寺院の境内でよく見かけるもので、都市型の樹木葬とも言えます。このような霊園は、庭園やガーデニングのような雰囲気を持ち、手入れがしっかりと行われていることが特徴です。
たとえば、園内はシンボルとなる樹木や美しい植栽で飾られています。
また施設によっては、埋葬された人の名前を示す銘板などが設置されていることもあります。納骨の方法としては、骨壺をそのまま収めたり、ステンレスの筒に入れて収めたりといくつかの方法があります。
庭園型のメリットとして、交通の便が良い立地にあることが多く、ガーデニングのような美しい環境で故人を偲ぶことができます。
しかし、デメリットとして、里山型に比べて広さが限られているため、将来的に骨壺を移動させる期限の制限(合葬墓に改葬)もあります。
里山型
里山型は、自然との絆を深める墓地として、里山の草木を育てながら自然保全の目的も果たすタイプの樹木葬です。
山林などの広い面積を活用し、一区画ごとに樹木を植えるスタイルです。
施設内では整備を極力抑え、本来の生態系に整え、自然の景観を最大限に生かしているものが特徴的です。そのため、自然豊かな郊外に位置しており、植樹をシンボルとすることもできます。なお、納骨の方法は施設によって異なるため、事前に確認が必要です。
里山型のメリットとして、自然の中に直接埋葬できるので、自然に帰りたいという人々の希望を叶えられます。
一方、デメリットとしては、施設が郊外、とくに山中に位置していることが多く、後年、参拝する際にアクセスが難しくなる可能性があります。
公園型
墓域がマウント状に整備され、芝生や樹木で飾られている霊園が増えてきました。
このような霊園は公園型と言われ、まるで公園のような自然な雰囲気を持ち、都市の喧騒から離れた場所にある場合が多いです。
園内では、1~数本の樹木をシンボルツリーとして墓域に植えるスタイルが主流ですが、一部では一区画ごとに樹木を植える霊園も存在します。納骨については、骨壺をそのまま収める方法や、ステンレスの筒に入れて収める方法など場所によって異なります。
公園型のメリットとして、交通の便が良い立地にあることや、美しい植栽の中で故人を偲ぶことができる点です。
一方、デメリットとして、里山型に比べて広さが限られているため、骨壺を移動させる必要が出てくる霊園もある点を考慮する必要があります。
意外と知らない樹木葬の3つのメリット
樹木葬におけるメリットは大きく分けて以下の3つです。
- お墓の価格を抑えられる
- 承継者が不要である
- 宗教・宗派を問わない場合が多い
順番に見ていきましょう。
お墓の価格を抑えられる
樹木葬は墓石を用いる必要がありません。樹木葬の中でも安価な合祀タイプでは1名あたり10万円前後での埋葬できるようになっています。
【第12回】お墓の消費者全国実態調査(2021年)によると、一般墓の平均購入価格は169.0万円です。墓石を用いる方法は経済的な負担が大きいとされる中、いかに樹木葬の負担が少ないかがわかります。
さらに、墓地の管理料やお寺の維持に必要な護持費、寄付などの追加費用がかからないため、トータルの費用も大幅に抑えられるのが特徴です。
ただし、埋葬する場所や選ぶオプションによっては費用が変動することもあるので、その点を考慮する必要があります。
景観整備がきちんとされているところは100万円くらいのところもあります。環境整備によって価格差があるので、覚えておきましょう。
補足:樹木葬の埋葬の種類は全部で3つ
樹木葬には「合葬型」、「集団型」、「個人型」の3つの埋葬方法あります。一覧表で確認してみましょう。
樹木葬の種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
合葬型 | 複数の遺骨を1つの共同墓地に納める方法。個別の墓石や墓標は設けられず、共同の石碑や標示があるだけの場合が多い。 | 維持管理が容易で、墓地の維持費用が比較的安価になることが多い。家族や親戚との絆を感じられる。 | 個人の名前などの記載がないため、後世にその人が埋葬されていることを知るのが難しい場合がある。 |
集団型 | 複数の遺骨を1つの墓地に納めるが、それぞれの遺骨には個別の墓標や石碑が設けられる方法。 | 個人の名前や生没年が記載されているため、後世にその人の存在を知ることができる。また、維持管理も比較的容易。 | 墓地のスペースが必要になるため、合葬型に比べると費用が高くなる場合がある。 |
個人型 | 1人の遺骨を1つの墓地に納める方法。個人の墓標や石碑が設けられる。 | 個人の名前や生没年が記載されており、その人の存在を強く感じることができる。また、家族や親戚との絆を深められる。 | 地のスペースや維持管理の費用が高くなる場合がある。 |
承継者が不要である
一般的な墓石による埋葬では、故人の親族などが代々墓石を引き継ぎ、管理する責任が伴います。
現在は引き継ぐ人がいるかもしれませんが、将来的には引き継ぐ人がいなくなるリスクも考慮しなければなりません。
一方、樹木葬は墓石を作成しないため、何世代にもわたる引き継ぎの必要がなく、維持管理も霊園や寺院が担当します。
お墓の掃除や植木の手入れなどの維持管理の心配がなく、埋葬後も霊園や寺院が供養を続けてくれるのが大きなメリットとなっています。
永続性が大切なことは、通常の霊園と変わりません。民間霊園(公益社団等も含む)ならば「霊園のコンセプトがしっかりとしている」なども選ぶ視点として大切です。
宗教・宗派を問わない場合が多い
「自然に還る」をコンセプトとして掲げる樹木葬は、宗旨宗派を問わずに埋葬できるところが多いです。
代々のお墓を承継することを前提としないため、寺院が運営する樹木葬であっても、多くの場所で宗教・宗派に縛られずに埋葬できます。そのため、納骨式や特定の宗教に基づくしきたりは基本的に求められません。
しかし、一部の施設では「個別の法要はお寺の宗派で行う」や「戒名を付ける」といった条件が設けられていることもあります。
また、檀家としての登録が必要な場所や、特定の宗派の法要のみを認めるケースも考えられるため、申し込み前に各施設の条件をしっかりと確認しておくと安心です。
最低限おさえておきたい樹木葬の3つのデメリット
樹木葬のデメリットは、以下のとおりです。
- 後から遺骨を取り出せない場合もある
- 個別のお参りが難しいこともある
- 場所によってはアクセスが不便
ひとつずつ見ていきましょう。
後から遺骨を取り出せない場合もある
合葬型の樹木葬では、遺骨が他の方の遺骨と混ざり合い、一緒くたにされるため、後から特定の遺骨だけを取り出すことは不可能です。
また、個別埋葬や家族埋葬の場合でも、骨壷に納められていない状態や、合祀スペースに改葬された後は、遺骨の取り出しはできません。
将来的に新しいお墓を購入する予定がある場合、遺骨を改葬することは難しいため、自宅での遺骨保管や納骨堂の利用を検討すると良いでしょう。
個別のお参りが難しいこともある
樹木葬は、伝統的な墓碑のように手を合わせる明確な対象がないため、お参りの際の対象があいまいと感じることもあります。
さらに、樹木葬の場所でのろうそくや線香の使用が制限されている霊園や寺院も存在するため、一般的なお墓参りの形式を取ることが難しい場合があります。
また、樹木葬には散骨を伴うケースもあるため、具体的な「墓標」が不明瞭になることが考えられます。このような状況では、後日の改葬や遺骨の取り出しも難しくなることも。
比較的新しいカタチの樹木葬は、まだ一般的には浸透していないため、周囲の理解を得るのも一つの課題といえます。
場所によってはアクセスが不便
樹木葬の中でも「里山型」は、その自然の豊かさから都市部に設置することが難しく、多くが郊外や山奥に位置しています。
そのため、交通アクセスが難しい場所にあることが多く、お墓参りをする際には、最寄りの駅や停留所からさらに歩いて訪れる必要があります。
このことから、里山型の樹木葬は家族や友人がお参りしにくい場所にあると感じることもあるでしょう。
これだけは外せない|樹木葬を行う際ポイント3つ
樹木葬を行う際におさえておきたいポイントは以下の3つです。
- 実際の景観を調べておく
- 共同スペースの場合が多い
- 納骨する人数を確認する
では、ひとつずつ解説をしていきます。
実際の景観を調べておく
樹木葬は、自然の中で行われるため、四季によってその風景が変わります。
たとえば、庭園型や里山の樹木葬では、春には花々が咲き誇り、華やかな雰囲気を楽しめますが、冬には静寂とした景色に変わることもあるでしょう。
お墓を選ぶ際には、四季の違いを感じられる写真を参考にするか、実際に各季節を訪れてその変化を確かめることをおすすめします。
共同スペースの場合が多い
樹木葬では、参拝スペースや供物台を他の利用者と共有することが多いです。
このため、とくにお盆やお彼岸のような多くの人が訪れる時期には、他の利用者との間で混雑やトラブルが生じる可能性もあります。
静かに、ゆったりとお参りをしたい場合、個別埋葬の樹木葬を選択することを検討するとよいでしょう。
納骨する人数を確認する
樹木葬は一般的なお墓と比べると安価で購入することができるので、予算を重視して選ぶ方も多いです。
しかし、具体的な価格を確認すると、必ずしも安価であるとは限りません。
多くの樹木葬は継承を前提としていないため、個人や夫婦用のプランが主流です。一見、単体の価格は手頃に思えますが、家族全員の埋葬を考慮すると、一般墓との差がほとんどなくなることも。
また、散骨や合祀と比較して、価格が高めの樹木葬も存在します。埋葬の形態についてしっかりと検討し、複数のオプションを比較することをおすすめします。
まとめ
今回は、樹木葬の特徴、種類からメリット・デメリット、実際に埋葬する際のポイントについてお伝えしました。
樹木葬の種類は大きく分けて以下の3つです。
- 庭園型
- 里山型
- 公園型
それぞれ特徴が異なりますので、利用の際は確認しておきましょう。
また、メリット・デメリットは以下のとおりです。
- お墓の価格を抑えられる
- 承継者が不要である
- 宗教・宗派を問わない場合が多い
- 後から遺骨を取り出せない場合もある
- 個別のお参りが難しいこともある
- 場所によってはアクセスが不便
実際に樹木葬を考えている方は、以下のポイントを抑えておいてください。
- 実際の景観を調べておく
- 共同スペースの場合が多い
- 納骨する人数を確認する
いずれの場合も個人で判断し、決めていくのは難しい場合もあります。まずは、専門家に相談をして、どのような埋葬方法がふさわしいのかを決めることから始めてみてください。
山崎石材工業では、無料にてお墓のことをご相談いただけます。もし、お墓に関するお悩みがあればお気軽にご相談ください。