
お墓を片付けるつもりだけれど、本当にこれでよかったのだろうか?
先祖代々のお墓を閉じることは、家族の歴史や思い出と向き合う大切な時間でもあるため、「墓じまいをして後悔しないか」という疑問が浮かぶのは、ごく自然なことです。
実際に墓じまいをした人の中には、気持ちの整理がつかずに後悔するケースもあります。
しかし、事前に考えられる後悔のポイントを知り、しっかり準備しておけば、納得のいく形で進められるはずです。
そこでこの記事では、墓じまいで起こりがちな後悔とその対策、費用の目安を詳しく解説します。
- 墓じまいをするときによくある後悔
- 墓じまいで後悔しないための5つの対策
- 墓じまいの流れと費用
さらに、よくある質問への回答も掲載し、不安や疑問を解消します。



最後まで読むことで、スムーズに墓じまいを進められ、大切な家族や故人への思いをしっかり守ることができますよ!
墓じまいをするときによくある後悔5つ


墓じまいを進める際に、「もっと事前に知っておけばよかった」と後悔する人が少なくありません。
ここでは、墓じまいで陥りやすい5つの後悔ポイントを挙げ、それぞれの具体的な状況を解説します。
- 親族間のトラブルが起こった
- 手続きが多くて大変だった
- 予算を超えてしまった
- 遺骨が取り出せない納骨方法を選んでしまった
- 予想よりも長い期間がかかった
事前に対策を立て、スムーズな墓じまいをするためにも、詳しく見ていきましょう。
1.親族間のトラブルが起こった
親族間のトラブルが起こり、墓じまいを後悔する人もいます。
事前の報告や相談不足などが原因で、親族間のトラブルが起こるケースが多いです。
たとえば、報告が遅れたことで猛反対を受け、墓じまいを断念せざるを得なくなったり、費用の分担に意見が割れて対立が生じたりするケースがあります。
また、親族の意見を無視して墓じまいを強行した結果、兄弟間の関係が悪化してしまうことも少なくありません。
こうしたトラブルが起きると、感情的な対立が深まり、親族間の信頼関係に溝が生じるだけでなく、相続問題へと発展する可能性もあります。
親族全員の合意を得るためには、早めに報告し、話し合いの場を設けることがトラブル回避のカギとなります。



本来は、お墓改葬(じまい)の費用は、本来、兄弟で負担するのが当たり前なのかもしれませんが、未だに長男が中心に費用を負担しています。
今後は、兄弟で考えていくものではないかと思います。
そう考えると、分家の兄弟が長男に変わって、お墓を継いでいくという事例も今後増えていくかもしれません。
2.手続きが多くて大変だった
墓じまいの手続きは、墓を撤去して土地の管理者に返還し、遺骨を新たな納骨先に移すまでの一連のプロセスを含みます。
墓じまいの過程では、役所の「改葬許可申請書」をはじめとする多くの手続きが必要となり、多くの場合、時間や労力がかかります。
また、遺骨を無許可で移動・処分することは法律で禁止されているため、各段階で必要な手続きや規則を正しく理解しなければなりません。
法律の知識が不足していると、手続きがさらに複雑化し、思わぬトラブルを招く可能性もあります。
事前に墓じまいに関する法律や自治体のルールを確認し、必要な書類を揃えておきましょう。
3.予算を超えてしまった
墓じまいを進める際、予算を超えてしまうケースは少なくありません。
原因としては、事前にしっかりと見積もりを取らなかったことや、追加費用が発生することへの認識不足が挙げられます。
たとえば、墓石の撤去費用、遺骨の移動費用、さらには供養費用や新しい埋葬先の契約費用など、複数の費用項目を見落としがちです。
こうした事態を防ぐためには、石材店や霊園に詳細な見積もりを依頼し、予算を明確にしておきましょう。
また、費用が膨らむ可能性のあるポイントを事前に確認し、不明点は早めに専門家に相談すると安心です。
4.遺骨が取り出せない納骨方法を選んでしまった
墓じまいをする際に、合祀(ごうし)を選んだことで後悔するケースがあります。
合祀とは、複数の遺骨を一緒に供養する方法です。
費用を抑えられるメリットがありますが、1度合祀してしまうと故人の遺骨を取り出すことはできません。
家族だけでお参りできる場所がなくなるだけでなく、将来、先祖の遺骨を改めてお墓に埋葬したいと考えても、それが叶わなくなってしまいます。
納骨方法を選ぶ際は、合祀以外の選択肢(個別納骨や永代供養墓など)も含め、費用や供養の形をよく比較し、後悔のない選択をしましょう。
5.予想よりも長い期間がかかった
墓じまいは、手続きの多さや関係者間の調整に時間を要することから、予想よりも時間がかかるケースが多いです。
具体的には、自治体への改葬許可申請、お寺や石材店とのやり取り、親族間での合意形成などが挙げられます。
これらを1つずつ進める必要があり、特に改葬許可申請は役所の処理期間も考慮しなければなりません。
また、親族間で意見がまとまらなかったり、遺骨の新しい埋葬先を選ぶのに時間がかかることもあります。
事前にスケジュールを把握し、関係者と十分に相談しておくことが、余計な時間のロスを防ぐポイントです。
墓じまいで後悔しないための5つの対策


墓じまいで後悔を防ぐには、事前の準備と適切な対応が欠かせません。
以下、スムーズな墓じまいを進めるための5つの対策を詳しく解説します。
- 事前に親族間で話し合っておく
- 自治体に相談する
- 墓じまいにかかる費用を見積もる
- 供養の仕方を調べて選ぶ
- 身体が健康なうちにはじめる
事前準備をしっかり行うことで、時間や手間を最小限にし、安心して進めることができるでしょう。
1.事前に親族間で話し合っておく
墓じまいを進める際には、家族や親族としっかり話し合い、同意を得ることが欠かせません。
中には、墓じまいに対して否定的な意見を持つ親族がいる場合もありますが、無断で進めるとトラブルに発展する可能性があります。
そのため、根気強く話し合いを重ね、時間をかけて納得を得ましょう。
また、墓じまいにかかる費用も、事前に説明しておくことが重要です。
離檀料や墓石の撤去費用など、具体的な金額を提示することで、金銭面での誤解や対立を未然に防ぐことができます。
事前準備と丁寧な説明を心がけることで、スムーズな墓じまいが実現できるでしょう。
2.自治体に相談する
墓じまいをスムーズに進めるためには、事前にお墓を管轄する自治体へ相談しましょう。
墓じまいには、改葬許可申請書の提出や証明書の取得など、行政手続きが欠かせません。
手続きには書類の準備が必要で、不備があると手続きが進まず、墓じまいの期間が長引いてしまう可能性があります。
自治体では、墓じまいに必要な手続きや関連する法律、規制などの情報を提供しているため、事前に確認しておくことが大切です。
また、一部の自治体では、墓じまいに詳しい専門家を紹介してくれる場合もあります。
自治体や専門家のサポートを活用することで、複雑な手続きもスムーズに進められるでしょう。
3.墓じまいにかかる費用を見積もる
スムーズに墓じまいを進めるためには、事前に費用の見積もりを取ることが重要です。
墓じまいには、墓地の撤去費用や遺骨の新たな埋葬先の契約費用、改葬許可申請など、さまざまな費用が必要です。
これらを把握せずに進めると、予算オーバーや金銭的なトラブルが起きることもあります。
事前に見積を取得しておけば、計画的に進めることができ、金銭面での後悔を防ぐことができます。
見積もりを依頼する際は、複数の石材店や業者に相談し、内容や費用を比較検討することが大切です。
また、業者選びでは、費用の内訳や追加費用の有無をしっかり確認しましょう。
4.供養の仕方を調べて選ぶ
墓じまいを進める際、ご遺骨の供養方法をしっかり調べ、事前に決めておくことが重要です。
墓じまい後の供養方法には「永代供養墓」「納骨堂」「樹木葬」「散骨」などさまざまな選択肢があります。
それぞれ特徴や費用、手続きが異なるため、家族全員で故人の意向や希望を話し合い、可能な限り一致した意見をまとめることが大切です。
管理方法は早めに決める必要がありますが、焦らず慎重に検討し、家族全員が納得できる方法を選ぶことで、後悔のない墓じまいにつながります。



また、石碑に刻まれている戒名など文字や、ご先祖様にまつわるファミリーヒストリーを調べて、デジタル化して残す方法もあります。
墓じまいに対する気持ちが少し和らぐケースもありますよ。
インターネット上で祈りを捧げたり個人の記念ページを作成したりできる「ネット墓」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。


5.身体が健康なうちにはじめる
墓じまいは、想像以上に体力と時間が必要な作業です。
手続きや親族との話し合い、供養先の選定、墓地の撤去工事など、多岐にわたる工程を進める必要があり、高齢になってからでは負担が大きくなる可能性があります。
高齢や病気で手続きが難しくなる可能性があるだけでなく、墓守がいないまま亡くなってしまうと、お墓が無縁仏になってしまうリスクもあります。
特に、遺骨の移動や供養先の契約、自治体の手続きなどは、元気なうちに計画的に進めることが大切です。
早めに行動を起こすことで、余裕を持ったスケジュールで進められ、家族や親族に負担をかけずに済むでしょう。



一般的に元気なうちは、「自分たちは海に撒いてもらえばよい」ということを言う方々が多いのですが、自分たちも年齢が増しリアルに自分事になってきたときに、考え方が変わるのものです。
なので、自分たち又は自分たちの子供達が将来どうするかということも、真剣にシュミレーションをすることが重要です。
墓じまいの流れ


墓じまいは、多くの手続きが必要ですが、以下の流れに沿って進めればスムーズに進行できます。
親族全員で事前に話し合い、お墓じまいの理由や今後の予定を丁寧に説明し、合意を形成します。
管理者に墓じまいの意向を伝え、埋葬証明書を発行していただきます。
遺骨の供養方法や新しい納骨先を選定し、受入証明書を取得します。
墓石の撤去や閉眼供養を代行する業者を選び、見積もりを比較検討します。
改葬許可申請書を市区町村役所で入手し、必要書類とともに提出します。
閉眼供養を実施し、遺骨を取り出します。
墓石と基礎部分を撤去し、墓地を更地にして管理者に返還します。



お墓の撤去業者(石材店)は、お墓じまいについてコンサルティング的な対応をしてくれる業者と、単なるお墓じまいの見積もりの対応をする石材店があります。
どのような対応をしてくれるかも見極めながら、相見積もりというよりも「相相談」をしましょう。
各ステップを事前に計画しておくことで、余計なトラブルや時間のロスを防ぐことができます。
さらに詳しく墓じまいの流れを知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。


墓じまいにかかる費用


墓じまいの費用は、お墓の大きさや立地条件、新しい供養先によって異なりますが、一般的には40万円から150万円程度が相場です。
この費用には、墓石の撤去や更地に戻すための工事費、自治体への改葬許可申請に伴う手続き費用、遺骨の移動費用、さらにお寺への離檀料や閉眼供養にかかるお布施などが含まれます。
費用に幅があるのは、離檀料やお布施、改葬先の選択肢によってかかる金額が異なるためです。
最近では、後継者がいない、遠方に住んでいてお墓参りが難しいなどの理由で墓じまいを検討する人が増えています。
なお、墓じまいをした後でも、遺骨は新たな供養方法を選び、適切に弔う必要があります。
墓じまいにかかる具体的な費用や内訳を知りたい方は、以下の記事もご参考ください。


墓じまいの後悔に関してよくある質問


墓じまいを進める際、多くの人が以下のような不安や疑問を抱きます。
- お寺とトラブルになることもありますか?
- 手続きに不安を覚えたときにどうすればいいですか?
- 墓じまいは必ずしないといけませんか?
これらの不安や疑問は、事前に正しい情報を知ることで解消できます。
不安を取り除き、後悔のない選択をするためにも、ぜひ参考にしてください。
お寺とトラブルになることもありますか?
墓じまいと同時に離檀をする際、お寺との間で問題が発生するケースもありますが、丁寧な対応をすることで、未然にトラブルを防ぐことが可能です。
代表的なトラブルとしては、改葬許可申請書への記入拒否や、高額な離檀料の請求、閉眼供養を断られるケースなどが挙げられます。
トラブルを防ぐためにも、離檀する場合はこれまでのお世話への感謝を伝えつつ、墓じまいをする理由を丁寧に説明しましょう。
また、お寺によっては、離檀料を求められることもあります。
その金額が適切であるか確認し、不当に高額であると感じた場合は、弁護士に相談することも大切です。
事前にお寺と十分に話し合い、誤解や感情的な対立を避けることが、トラブル防止につながるでしょう。
手続きに不安を覚えたときにはどうすればいいですか?
墓じまいの手続きには、改葬許可証の取得や寺院への連絡、墓地の解約、墓石の撤去工事など、多くの工程が含まれるため、不安を感じる方も少なくありません。
こうした場合、墓じまい専門の代行業者に依頼するのがおすすめです。
代行業者は、自治体への申請手続きや寺院とのやり取り、業者の手配までを一括でサポートしてくれるため、手続きにかかる負担を大幅に軽減できます。
また、専門知識を持ったスタッフが対応してくれるため、トラブルを未然に防ぐことも可能です。
墓じまいの手順や供養方法を1から調べる必要もなくなるため、不安を感じている方は相談してみましょう。



一般的には、私たち石材店が申請業務代行も請け負っていますね。
墓じまいは必ずしないといけませんか?
墓じまいは必ずしも行う必要はありません。法律で義務付けられているわけではなく、あくまで個々の事情や考え方に応じて判断できます。
しかし、墓じまいをせず放置すると、無縁仏になる可能性があります。
無縁仏は縁起が良くないだけでなく、お寺や霊園、さらには行政に迷惑をかける可能性があるため、できるだけ避けるべきです。
こうした状況を防ぐためにも、お墓を放置せず、自分や家族にとって最適な方法を選び、後悔しない決断をすることが大切です。
兄弟など長男以外で、お墓を継いでくれる兄弟がいないか親族会議をしてみてください。



兄弟など長男以外で、お墓を継いでくれる兄弟がいないか親族会議をしてみてください。
長男もお墓じまいをする予算があるならば、兄弟でお墓を継承してくれて、自分たちも入れるお墓となるならば、考えている費用をお墓を継いでくれる兄弟に管理費としてつないでいくこともあるかと思います。
無縁仏についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考ください。


まとめ


墓じまいは、親族間の話し合いや手続きの準備、費用の見積もりなど、さまざまな工程を必要とする大きな決断です。
墓じまいをするときによくある後悔は、以下の5つです。
- 親族間のトラブルが起こった
- 手続きが多くて大変だった
- 予算を超えてしまった
- 遺骨が取り出せない納骨方法を選んでしまった
- 予想よりも長い期間がかかった
後悔しないためにも、事前に必要な情報を把握して計画的に進めることで、スムーズに墓じまいができます。
墓じまいで後悔しないための対策は、以下の5つです。
- 事前に親族間で話し合っておく
- 自治体に相談する
- 墓じまいにかかる費用を見積もる
- 供養の仕方を調べて選ぶ
- 身体が健康なうちにはじめる
墓じまいでお寺とのトラブルが発生した際は、専門家へ相談すると良いでしょう。
また、手続きに不安がある場合は、代行業者のサポートを活用することで負担を軽減できます。
墓じまいは必須ではありませんが、無縁仏にならないためにも早めの話し合いと計画が重要です。
後悔のない墓じまいを進めて、大切な家族や故人への思いをしっかりと形にしましょう。